昨日(21日)は八海山に登ってきました。デスクワークが続いてストレスがたまってきたので、突然の思いつきで単独行。本当は木曜日に行くつもりだったのだけど、天気がイマイチっぽかったので翌日に。平日でもこんなふうに思いつきひとつで動けるのがフリーランス最大の醍醐味だと思っています。そのかわり土曜日のきょうは仕事しているのだけど。
コースは、ロープウェー〜八海山〜阿寺山というもの。八海山はさすがに人気の山だけあって、平日だというのにけっこうな数の登山者が来ていました。ただ、私をのぞいてほぼ全員がロープウェーからの往復だったようで、阿寺山方面はひとりの登山者にも会わず。こちらは登山道も荒れ気味で、静かなもんでした。
個人的お目当てのひとつだったのが、八海山の紅葉。昔、この隣の中ノ岳で人生最高の紅葉を見たことがあるので、このへんの紅葉の美しさには期待していたのです。
……というのはウソで、実際はこんな感じでした。
最初の写真は「風景モード」という、彩度とコントラストを上げた設定にしているので、ビビッドで派手な発色になっています。実際の見た目に近いのは2枚目の写真のほうです。
山の風景ってのは、こういうふうに彩度とコントラストを上げると簡単に見栄えのいい写真になるのです。やり方は簡単。カメラの設定を「風景」とか「ビビッド」とかにしておくだけ。インスタグラムアプリとかは、イイ感じのプリセットがいっぱいあって撮影後に選べるようになっていますが、要はこういうことをやっているわけです。
こういう色調整というのは、プロのカメラマンも多かれ少なかれみんなやっています。紅葉の取材に行って「紅葉イマイチだったな」というときでも、カメラマンから写真をもらったら素晴らしい紅葉が写っていた、なんて経験も一度や二度ではありません。もはやデジタルはなんでもできるのです。
で、デジタルだけではありません。フィルム時代、山の撮影ではフジの「ベルビア」というフィルムが圧倒的な人気を誇っていました。風景写真家や山岳写真家の8割から9割はベルビアを使用していたと記憶しています。このベルビアというフィルムはどぎつい発色が特徴で、それこそ冒頭の八海山の写真のような色が出ました。空は完璧に青く、樹々はすばらしく緑で、紅葉を撮れば、どうってことのない紅葉が錦の海になったものです。
さて、紅葉についての山岳写真のウソ、もうひとつあります。それは、紅葉がパッとしないとき、「紅葉がきれいな木をひとつだけ見つけ、それを手前に配置する」というものです。
具体的な例で説明しましょう。
これは2014年の9月末に裏剱の仙人池という、紅葉撮影の名所で撮ったものです。山旅ツアーのチラシに使えそうな素晴らしい紅葉だと思いませんか。
しかし、この写真を撮った場所から3m左に移動して撮ったものがこちら。
俄然、冴えない風景になってしまいました。しかし、当日の現場の印象としてはこちらのほうが実を表しています。
もうひとつ、こういうのもあります。
これは2013年の9月20日ごろに剱沢で撮ったものですが、これだけ見ると、周囲一帯が紅葉に包まれているように思えます。
しかしここからぐーっと引いて周囲一帯を写すとこんな具合でした。
「コレ」と記したのが、1枚目に写っているオレンジに紅葉した木。豆粒のごとくで、他はまだ青々としており、紅葉というにはまだ早すぎる感じであることがわかると思います。
雑誌に載っているような紅葉の山岳写真は、上に書いた2点のどちらか、あるいは両方をやっているものがほとんどといっても過言ではありません。逆に言えば、これらをやるだけで、あなたの紅葉写真のインパクトは倍増するはずであります。さらに言えば、インスタグラムやフェイスブックのタイムラインに流れてくる写真に「お! すごい!」と早合点して出かけたところ、大したことなかったという悲喜劇を防ぐためにも。。。
コースは、ロープウェー〜八海山〜阿寺山というもの。八海山はさすがに人気の山だけあって、平日だというのにけっこうな数の登山者が来ていました。ただ、私をのぞいてほぼ全員がロープウェーからの往復だったようで、阿寺山方面はひとりの登山者にも会わず。こちらは登山道も荒れ気味で、静かなもんでした。
個人的お目当てのひとつだったのが、八海山の紅葉。昔、この隣の中ノ岳で人生最高の紅葉を見たことがあるので、このへんの紅葉の美しさには期待していたのです。
……というのはウソで、実際はこんな感じでした。
最初の写真は「風景モード」という、彩度とコントラストを上げた設定にしているので、ビビッドで派手な発色になっています。実際の見た目に近いのは2枚目の写真のほうです。
山の風景ってのは、こういうふうに彩度とコントラストを上げると簡単に見栄えのいい写真になるのです。やり方は簡単。カメラの設定を「風景」とか「ビビッド」とかにしておくだけ。インスタグラムアプリとかは、イイ感じのプリセットがいっぱいあって撮影後に選べるようになっていますが、要はこういうことをやっているわけです。
こういう色調整というのは、プロのカメラマンも多かれ少なかれみんなやっています。紅葉の取材に行って「紅葉イマイチだったな」というときでも、カメラマンから写真をもらったら素晴らしい紅葉が写っていた、なんて経験も一度や二度ではありません。もはやデジタルはなんでもできるのです。
で、デジタルだけではありません。フィルム時代、山の撮影ではフジの「ベルビア」というフィルムが圧倒的な人気を誇っていました。風景写真家や山岳写真家の8割から9割はベルビアを使用していたと記憶しています。このベルビアというフィルムはどぎつい発色が特徴で、それこそ冒頭の八海山の写真のような色が出ました。空は完璧に青く、樹々はすばらしく緑で、紅葉を撮れば、どうってことのない紅葉が錦の海になったものです。
さて、紅葉についての山岳写真のウソ、もうひとつあります。それは、紅葉がパッとしないとき、「紅葉がきれいな木をひとつだけ見つけ、それを手前に配置する」というものです。
具体的な例で説明しましょう。
これは2014年の9月末に裏剱の仙人池という、紅葉撮影の名所で撮ったものです。山旅ツアーのチラシに使えそうな素晴らしい紅葉だと思いませんか。
しかし、この写真を撮った場所から3m左に移動して撮ったものがこちら。
俄然、冴えない風景になってしまいました。しかし、当日の現場の印象としてはこちらのほうが実を表しています。
もうひとつ、こういうのもあります。
これは2013年の9月20日ごろに剱沢で撮ったものですが、これだけ見ると、周囲一帯が紅葉に包まれているように思えます。
しかしここからぐーっと引いて周囲一帯を写すとこんな具合でした。
「コレ」と記したのが、1枚目に写っているオレンジに紅葉した木。豆粒のごとくで、他はまだ青々としており、紅葉というにはまだ早すぎる感じであることがわかると思います。
雑誌に載っているような紅葉の山岳写真は、上に書いた2点のどちらか、あるいは両方をやっているものがほとんどといっても過言ではありません。逆に言えば、これらをやるだけで、あなたの紅葉写真のインパクトは倍増するはずであります。さらに言えば、インスタグラムやフェイスブックのタイムラインに流れてくる写真に「お! すごい!」と早合点して出かけたところ、大したことなかったという悲喜劇を防ぐためにも。。。