2020年12月2日水曜日

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』感想


 

話題のこの本。発売前に読んでいたので感想を書いておこうと思う。


上に載せたのは集英社の宣伝用POPで、私のコメントが載っているが、本の端的な感想としてはこのとおり。これは宣伝用に書いたコメントではなく、献本をしてくれた編集者に送ったメールの一部が使われたもので、率直な感想そのままである。


実を言うと私も、一時期、栗城さんについて本を書こうかと考えたことがある。『トリックスター』というタイトルまで思いついていた。(トリックスターというのは、「神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者である。 往々にしていたずら好きとして描かれる。 善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、異なる二面性を持つのが特徴である<Wikipediaより>」らしい。まさに栗城さんにピッタリのタイトルではないだろうか)。


が、結局書かなかった。自分には「栗城史多について書く理由がない」と感じたのが最大の理由である。存命の人ならまだしも、故人、しかも亡くなって間もない人についてものを書くには、相当の関係性か、書かなくてはならない状況的理由がなくてはならないと思う。私にはそれがなかった。せいぜいネット記事を数本書くくらいが、私に見合ったボリュームであった。


そして『デス・ゾーン』を読んで、やっぱり書かなくてよかったなと思った。『デス・ゾーン』は私が想定したものと方向性は大体同じ。私が書いたら、同じような内容で情報が薄いという、劣化コピーのようなものになっていたはず。栗城史多について一冊書くという難しい仕事に説得力を持たせられたのは、著者の河野啓さんならではだったと思うのである。


河野さんは、10年ほど前に栗城さんを取材していたテレビディレクター。当時は、長期にわたって毎日のように会う、それこそ密着取材だったらしい。NHKなどの全国放送が栗城さんを取り上げる前で、栗城さんがこれから本格的に世に出て行こうとしていたころだ。


つまり河野さんは、栗城さんが虚飾をまとう前の素の姿をかなり知っている人であり、同時に、栗城さんが世に出る後押しをした初期の重要人物のひとりともいえる。河野さんには栗城さんについて「書く理由」があったのだ。


河野さんは、装飾も揶揄もせず、事実ベースで淡々と栗城史多という人物を描き出していく。その結果として、栗城さんの弱さやズルさもあからさまになるので、故人に酷すぎると感じる人もいるかもしれない。


だが私はそうは感じなかった。河野さんの筆致からは、栗城さんを貶める意図も持ち上げる意図も感じられず、ただただ、栗城史多という人物の真の姿を知りたいという意図しか感じられなかったからである。


ある対象を表現する場合において最も誠実かつフェアな態度というのは、真実に忠実になることだと信じている。不当に貶めることが不誠実なのはもちろんだが、実態以上に褒め称えるのも、対象の存在を本当には見つめていない態度だと考える。


「誠実な本」と表現したのは、このあたりに河野さんのとても真面目なスタンスを感じたからである。河野さんは愚直に栗城さんの実像を描き出そうとしている。その結果、浮かび上がるのが、実は意外なほどに愚直で不器用だった栗城さんの姿である。


「愚直で不器用」というのがネガティブファクターかというと、まったく逆。栗城さん本人の著書『一歩を越える勇気』や『NO LIMIT』からはなんのリアリティも感じられなかったのだが、エベレストにある意味愚直に通い続ける栗城史多の姿には人間味を感じたし、共感できる部分も少なからずあったのだ。


河野さんは栗城さんになかば裏切られるようなかたちでテレビ取材を中断するはめになった経緯があるという。栗城さんに対しては複雑な思いがあったらしいのだが、本書の取材で栗城さんのさまざまな面を知るにつれ、あらためて栗城さんのことを好きになれたと語っていた。


好きになれるとまではいかないが、私の読後感もそれに近い。とにかく不思議で、わけがわからず、うさんくさくもあり、共感できる余地はほぼなかった栗城史多という人物はいったい何者だったのか。本書を読んだことで、それが実感をもってかなり理解できるようになったように思う。



*著者の河野啓さんにインタビュー取材をしました。記事は1月発売の『BE-PAL』に載る予定です。





2020年11月21日土曜日

山梨県の統計が語る登山届の現在

 

遭難者の登山届提出の割合が少ないのは「お忍び」登山が原因、では無さそう - 豊後ピートのブログ


山梨県でこの夏、登山届の提出割合が低かったのは、コロナ禍中で後ろめたさがあったからでは……と報じる読売新聞の記事に対して、「それは違うんじゃないか」と分析した記事。


富士山や南アルプスに登れなかったから、登山者がほかの低山に向かい、その結果、登山届の割合が低くなったのではないかというのが、ブログ記事の結論。私もブログ主の結論を支持します。


ところでこの記事で初めて知ったんですが、山梨県では、登山届がどのように提出されているのか統計を公表しています。




2017年以降の数字しかわかりませんが、これを見ていると、いろいろ興味深い事実が浮かび上がってきました。


・今年3月まではコロナの影響はほとんどなし
・4月から登山者が急激に減り、ピークの5月は例年の10分の1以下
・8月から登山者数はかなり復活してきているけれど、それでも例年の5~6割
・登山届提出の中心手段はコンパス(4割)と登山口ポスト(5割)
・冬はコンパスから提出の割合が顕著に増える
・登山届提出数は増加傾向にあるようだけど、データが少ないのではっきりとはわからない
・郵便、ファクスで登山届を出す人はまだそこそこいる


これは山梨県だけの統計なので、全国的にいえる話ではないかもしれないけど、コロナの影響なんかはかなり体感に近い感じがする。あと、コンパス利用、思ったより多いんだなというのが個人的感想。


2020年11月8日日曜日

よど号は終わってる

 めずらしく登山と関係ないネタ。



私の祖父は50年前のハイジャック事件「よど号」の乗客だった。私はそのときまだ2歳半くらいだったのだが、無事帰還を祝って親戚が集まったのはうっすら記憶に残っている。私の人生でもっとも古い記憶がたぶんこれ。


本来、私の年齢ではよど号事件を覚えている人はほとんどいないはずなのだが、そういう特殊事情により、私は例外的によど号事件に関心があった。



昨日、そのよど号をテーマにしたトークイベントが開かれた。


北朝鮮にいるハイジャック犯も電話出演するという。これは見てみたいと思って、ツイキャスチケットを購入した。





見終わった感想は

最悪

のひと言だった。



まず、トークイベントとしてグダグダである。登壇者が言いたいことを長々演説するだけで、議論になっていない。司会もう少し仕事しろというところだ(2部は多少マシだった)。


次に、よど号の話がほとんど出てこない。イベントの紹介文にはこうある。


"半世紀もの間、彼らは何をし、何を考えたのか。関係者、識者、そしてピョンヤンからの彼らの電話も受けて、トークイベントを展開します。"


だが実際には、トランプとバイデンがどうのとか、菅政権がどうしたとかの話が大半で、よど号事件の話が深まることはまったくなかった。ハイジャック犯本人も電話で出演したが、意味不明のことを延々がなるのみで、完全に終わっている。みんなよど号事件になんかもう関心はないのだろう。



結局のところ、

「よど号50周年を肴に、好きな政治ネタで盛り上がろう」

という、内輪のしょうもないイベントであった。



1200円返してくれ。



2020年10月29日木曜日

堀内一秀さん、ありがとうございました

ライターの堀内一秀さんが亡くなってしまった。自分にとっては兄貴みたいな感覚の人だったのでとても悲しい。膵炎が急激に悪化したということだが、直前まで普通に生活していて、翌日には近ごろ取り組んでいた視覚障害ランナーの伴走の予定もあったというのだから、本当に突然のことだったらしい。



僕が堀内さんに初めて会ったのは、まだ学生だった1993年。アドベンチャーレースのレイドゴロワーズに誘ってもらったとき。奥秩父で夜間縦走のトレーニングをしたり、三浦半島でシーカヤックの練習をしたり、必要な装備調達にあちこち行ったり、アドベンチャーレースのイロハを教えてもらった。本番のマダガスカルでは、アスリート然とした屈強な海外勢にビビったけど、オレたちは知能で勝負しようと、堀内さんとタバコ吸いながら一生懸命地図読みしたっけ(でも完走できず)。




堀内さんはその後もレイドに挑戦し続けた。日本でアドベンチャーレースというと田中正人さんが有名だが、堀内さんは田中さんより2年も早くレイドゴロワーズに参戦し始めている。日本にアドベンチャーレースの種をまいたのは堀内さんであるという事実はここに指摘しておきたい。自己アピールがきらいな堀内さんは自分ではついぞそんなこと言わなかったけど。



僕は94年に就職したため、レイドには出られなくなった。当初は僕も再挑戦の意欲満々だったのだが、日々の忙しさの前にその意欲をだんだん失っていった。一方で堀内さんは挑戦し続けている。その姿はまぶしく映ると同時に、こんなことで意欲を失っていく自分を情けなくも感じた。



堀内さんはレイドに一段落つけたころ、僕が働いていた会社(山と溪谷社)の『Outdoor』編集部で仕事を始めた。アドベンチャーレースの兄貴に仕事場で会うのはなんとなく気恥ずかしいものがあった。その後、僕は会社を変わり、Outdoor編集部もなくなり、僕は編集者としてライター堀内さんに仕事を発注する立場になったりもしたが、僕にとって堀内さんはあくまでアドベンチャーレースの兄貴。仕事としての節度を保つ自信がなく、編集部のほかの人に「堀内さんて人がいるよ」と紹介するだけで、自分ではあまり仕事をお願いしたことはなかった。



それでも、何度か頼んでしまったことはある。それはいつもピンチのとき。「こんなこと堀内さんにしか頼めない」という案件のときだ。いちばんひどかったのは、朝9時ごろに電話して「きょうの17時までに1000字のコラムを3本書いてほしい」というもの。堀内さんは「今から犬の散歩に行くから帰ってから書くよ」と余裕である。ほ、ほ、堀内さん、明日の17時じゃなくて、今日の17時なんですけど……と言うと、「わかってる、わかってる」と言って、本当に17時前にコラムが3本送られてきた。内容は完璧であった。



仕事面においてはこんなことばかりだったので、堀内さんには助けてもらったという記憶しかない。いつかは恩返ししたいと思いつつ、その機会は失われてしまった。とても申し訳なく思っているが、堀内さんにそのことを言うと、「え!? 恩返し? いいよ、いいよ」と言いそうだ。コラム3本の件だって、「ああ~、そんなことあったな」くらいにしか覚えていないかもしれない。



堀内さんは恩着せがましいところや、年下の人間に対してマウントをとろうとするようなところがまったくない人だった。僕以外にも、年下の人間や若い女性から妙に慕われていたのは、悪い意味でのオッサン的性質が全然なかったことが(酒乱をのぞき)大きな理由であるはずだ。今日に至るまで僕がろくな恩返しができていなかったのは、そういう堀内さんの性格に甘えてしまっていた部分が多分にある。





きょう、お棺におさまっている堀内さんの顔をまじまじと見て、日本人にしては鼻が細くてシュッと高いことにあらためて気づいた。堀内さんは髪と髭ボウボウのキリストのようなルックスに隠されていたが、じつはけっこうな男前である。僕が初めて会ったときはすでにキリストだったが、まだ若かったこともあって顔つきのシャープさは隠しようもなく、さらに若いキリストじゃないころの写真などを見ると、えっというくらいのイケメンだ。まったくの宝の持ち腐れとしかいいようがない。



あまりにも突然のことで、まだご冥福をお祈りするような気持ちにもなれず、ぽっかりと穴が開いてしまったまま、思い出すことをだらだら書き綴ってしまった。お世話になったことへのお礼もなにもできないまま亡くなってしまったことがただただ悲しい。堀内さんには、思い残すこともなく、楽しい人生だったと思っていてほしい。それが堀内さんらしいし、そうであったら僕もうれしい。



【堀内さんの著作】









2020年6月7日日曜日

【登山4択クイズ】結果発表

先日、このような登山クイズを作って公開しました。


登山4択クイズ


公開以降、2週間で2946人もの方がトライしてくれました。ありがとうございます! 作った甲斐があったというものです。






そもそもこのクイズは、これのマネをしたものでした。

クライミング4択クイズを作ってみた!


これはMickipedia(植田幹也)さんという人が作ったものなのですが、やってみたらすごく面白くて、「登山版もできるじゃん!」と思いついて作ってみたというものです。


このMickipediaさんは、クイズ公開後、結果の分析レポートまで出していて、それがまたすごく面白かったので、これまたマネして、以下、登山4択クイズの結果分析をレポートしようと思います。



【警告】

以下、完全にクイズのネタバレを含みますので、まだクイズをやっていない方は、ぜひやってみてから以下を読み進めることをおすすめします。結果分析が10倍面白く読めると思いますので。













よろしいでしょうか。


では結果レポートを初めます。




回答者数は2946人、平均点は30点満点で13.12点でした(6月6日22時時点)。


ちょっと難しかったですかね……。基本的に自分が知っていることしか問題として頭に浮かばないので、客観的な難易度がいまいち見当がつかなかったんです。


Mickipedeiaさんのクライミングクイズの平均点が15.43点だったので、なんとなくの体感値としてそれくらいの難易度を目指したつもりだったんですが、少し難しくなりすぎたみたい。


随所に引っかけ問題とか、たとえネット検索してもまずわからないような難問とかも入れたので、29点以上の「生き字引」クラスをゲットする人はいないだろうと思っていました。


が、予想に反して35人も! 満点獲得者が現れたときは本当に驚いたのですが、何度もトライしている人がいたようで、高得点ゾーンに少なくない人がいるのはそのせいかと思われます(複数回トライを禁じるつもりはなく、逆に何度もやりたい人は納得いくまでやってほしかったので、全然問題はないです)。


直接知らせていただいて、私が把握しているなかでのオンサイト最高点は28点。初見でこのクイズ28問正解するのはマジですごいと思います。私には無理だな。仮に他人が作った同程度の難易度のクイズを自分がやったら、22点くらいじゃないかなと見積もってました。


一方、7点以下は「逆にすごい」クラスと設定していました。4択クイズなので、全問適当に答えたとしても、確率的に7.5問は正解できるようになっています。その数学的確率を超えて外し続ける引きの強さは、まさに「逆にすごい」。このナイスなクラス設定もMickipediaさんをマネしております。




正答数人数順位上位率クラス
00人
逆にすごい
10人
20人
33人2943位100.00%
48人2934位99.90%
528人2907位99.60%
672人2834位98.70%
7114人2721位96.20%
8170人2551位92.30%
高尾山
9226人2325位86.60%
10257人2068位78.90%
丹沢
11297人1771位70.20%
12248人1523位60.10%
13301人1222位51.70%
14250人972位41.40%
15230人742位33.00%
北アルプス
16195人547位25.20%
17152人395位18.50%
18101人294位13.40%
1971人223位9.90%
2039人184位7.50%
山岳ガイド
2147人137位6.20%
2217人120位4.60%
2323人97位4.00%
248人89位3.30%
258人81位3.00%
8000m峰登山家
2620人61位2.70%
277人54位2.00%
2818人36位1.80%
2917人19位1.20%
生き字引
3018人1位0.60%


得点分布はこうなっています。細かい数字が合わないような気がしますが気にしないでください。Mickipediaさんのほうでは出していた偏差値も出したかったんですが、偏差値の計算方法が難しくてどうしても理解できず、断念しました。


これを見ると、19問正解までが上位10%以内に入ってしまうのだから、やっぱり難しすぎましたね。得点分布のグラフを見ると、Mickipediaさんのクイズは左右均等にきれいな山を描いているのに対して、今回のクイズは左に寄ったいびつな形をしています。それから、なぜか真ん中(12問正解)がガクッと少なくて、頂上が陥没あるいは双耳峰的な形に。これはなぜなんだろう? 理由がわかりません。







問題ごとの正答率

カテゴリー/レベル問題正答率
問1 山Lv.1登山者数80.7%
問2 山Lv.2百名山でない山53.5%
問3 山Lv.3槍ヶ岳の標高43.8%
問4 山Lv.4鷲羽岳56.1%
問5 山Lv.5最高峰が低い県57.7%
問6 山Lv.6一尺八寸山22.3%
問7 技術Lv.1パッキングのセオリー75.9%
問8 技術Lv.23000mの気温70.3%
問9 技術Lv.3必要な水の量70.7%
問10 技術Lv.4雪崩埋没時の生存時間61.9%
問11 技術Lv.5雪渓のルート41.0%
問12 技術Lv.6ヤブこぎグレード20.3%
問13 ギアLv.1防水でない素材57.6%
問14 ギアLv.2クランポン51.5%
問15 ギアLv.3パタゴニアのロゴ48.9%
問16 ギアLv.4デニール46.9%
問17 ギアLv.5パーテックス34.8%
問18 ギアLv.6カネボウのザック39.9%
問19 登山史Lv.1エベレスト初登頂44.5%
問20 登山史Lv.2剱岳初登頂55.6%
問21 登山史Lv.3日本アルプス命名者13.5%
問22 登山史Lv.48000m14座18.6%
問23 登山史Lv.5上高地のバス24.8%
問24 登山史Lv.6谷川岳衝立岩15.9%
問25 その他Lv.1古い登山雑誌50.4%
問26 その他Lv.2山岳遭難者数30.4%
問27 その他Lv.3日本山岳・スポーツクライミング協会41.9%
問28 その他Lv.4アイガー・サンクション26.8%
問29 その他Lv.5股旅の山29.7%
問30 その他Lv.6さかいやスポーツ26.6%


正答率が25%を下回ったものに色を付けました。こうして見ると、登山史がネックになったことがわかります。クイズをやってくれた人の感想として「後半が難しかった」というものが目立っていたのですが、数字にしてみるとそれは明らか。自分的には前半と難易度を変えたつもりはなかったので、私の知識は登山史とか雑学系に偏っていることがうかがえます。


本当は、レベル1の正答率が80%~90%、6が20%前後で、段階的に正答率が下がっていくのが美しいと思うし、Mickipediaさんの結果はまさにそうなっているんですが、私のは必ずしもそうはなっていないところが、クイズ作成の精度の低さを表しているなと反省。







注目問題の結果解説

個人的に思い入れのあった問題や、結果が予想外だった問題をいくつかピックアップします。




これ、意外と知っている人多いんですね。沖縄と答える人が多いんじゃないかと思ってました。







これはけっこう自信作。グレードの基準がまさか「いまだかつて体験したこともないような猛烈なヤブ」とは思いますまい。私もグレードの存在は知っていましたが、基準までは覚えていませんでした。いきなりこのクイズ出されて正答する自信はありません。







レベル1にしては正答率が低かった問題。これはフューチャーライトが迷わせてしまいましたね。これ、昨年登場したばかりでまだ知名度が高くない素材なのです。レベル1なら、ネオシェルとかハイベントとかエントラントにしておくべきでした。







これもレベルを失敗した問題。解説にも書いたとおり、ストッキングでなじみの単位なので、女性には常識だそうです。







これなんでこんなに正答率高いの!? 「カネボウがザック作ってたなんてだれも知らないだろ~」と思って自信満々に出したのに。けっこう知られている事実なんでしょうか!? それとも、他の選択肢から推測しやすかったのかな。







これは8割9割正解するだろうと思っていたのですが意外。ヒラリーとテンジンというのは、小学校あたりで習ったような覚えもあって、登山史というより一般常識だと思っていたんですが、いまの若い人には知られていない事実なんでしょうかね。







正答率13.5%。今回の最難課題となったのがこれ。すぐ下に有名な名前があるので、圧倒的にそちらに引っ張られています。私はガウランドわりと知っていたのでなんとなくレベル3か4くらいかなと思ったのですが、考えてみりゃガウランドなんて知ってる人限られますね。







有名な人が選択肢にあるとそちらに引っ張られるというのは、ここでも同様な傾向が見られました。ククチカって、80年代には新聞記事にもなったりしてわりと有名だったと思うのだけど、すでに歴史の彼方に埋もれてしまったようであります……。







これ意外と知られていないんだなあというのが感想。しかしこれも考えてみれば、雑誌の創刊年なんて普通は知らないか。私は元山と溪谷編集部員なので、創刊年を覚えていて当たり前。レベル設定を間違えました。







今回最大の自信作。この知識をドヤりたいがためにクイズを作ったといったも過言ではありません。「地球最大」はわからないだろう~。「銀河系最大」という選択肢も自信作で、こちらを選ぶ人がけっこういるんじゃないかなと予想していましたが、案の定けっこういて私は満足です。


ちなみに証拠はこれ。70年代のさかいやはパンクでした。








まとめ


クイズを作りながらつくづく感じたのが、Mickipediaさんの作ったクライミングクイズの完成度の高さ。Googleフォームを利用したことも、全30問にしたことも、4択にしたことも、カテゴリーやレベル分けのやり方も、すべてが具合がよく、変える部分を思いつきませんでした。比べてみてもらえばわかりますが、私が作った登山クイズは、まんまクライミングクイズのフォーマットにのっとっています。


面白いと感じた方は、ぜひオリジナルのクイズを作ってみてください。このMickipediaフォーマットは非常に優れているので、これをマネすればOKです。Googleフォームもとても優れています。私は初めて使ったのですが、直感的にすぐわかりました。これ以外のこともできるようなので、カスタマイズもいろいろできます。


気が向いたら第二弾作ります。
それでは!



2020年5月16日土曜日

「登山再開に向けた知識」を読んで思ったこと


登山再開に向けた知識(計画と準備編)


登山をよく知る医師、大城和恵さんが作ったこの提言が先日来話題になっています。新型コロナウイルスの感染をいかに防ぎながら登山をするか、その注意点について医師としての見地からまとめたというものです。


一読しての私の感想;



感染者が大量発生したダイヤモンドプリンセス号では、トイレの床に次いで枕から多くのウイルスが検出されたそうです。そこで、これからは山小屋泊でも自分の寝袋を持参しようと提言されています。


ただ、寝袋持参というのは少しハードルが高いので、枕カバーやシーツではどうでしょうか。カバーだけだったらウイルスが突き通してしまって意味ないというのであればダメなんですが、多少なりともウイルスの防御効果があるのであれば、カバーやシーツのほうが現実的な落とし所になるのではないかと。家庭で使っているものをそのまま持っていってもいいかもしれないし、アウトドア用のものだったらかなり軽量コンパクトなものがあります。


ちなみに私のおすすめはシートゥサミットの製品。枕はものすごく軽いのに頭の載せ心地がとてもよく、山小屋泊だけでなくテント登山者にもかなりおすすめ。シーツはシルク系のライナーが肌ざわりがよくて軽くていいですが、コスパ重視派はノーブランドのコットンや化繊のものでもいいでしょう(ちょっと重くなりますが)。











【5月17日追記】
この素人案はダメみたいです。大城さんが上記提言の補足として5月16日に公開したQ&Aによれば、「インナーシュラフ等を使用して、共用の寝袋を使うことは、インナーの素材に関わらず、感染リスクを減らすことはできません」とのこと。寝ている間等に無意識に共用の布団にふれたりしてしまうからだそうです。詳しくはこちらを参照。

【7月10日追記】
厳密を求めれば上記の通りですが、シーツなどでもないよりはずっとマシのようです。山小屋でも、可能であれば寝袋やシュラフシーツを持ってきてほしいとしているところがかなりあります。





***


ところで、この提言をめぐって、山小屋界隈が荒れているようです。


この提言書、全25ページのうち11ページが山小屋事業者に向けてのもので、登山者向けというより山小屋事業者向けの内容になっています。しかしこれが徹底的すぎて「こんなのできるわけない」「現実を無視している」と、山小屋関係者から大不評だというのです。


不評だけならまだいいのですが、長野県ではこれをガイドラインとして各山小屋に対策を要請しているといいます。その結果、「実行できないので休業するしかない」という議論になっているところもあるそうです。


大城さんは医師として、考えられる対策をすべて網羅したのだと思いますが、ひとたびその手を離れると、いつの間にか「全部やらなきゃダメだ」という金科玉条になって流通していき、現実との齟齬をきたす。そんなだれも幸せにならない不幸な状況になってしまっているようです。


この提言に書かれていることを山小屋がすべて実行するのは、私も無理だと思っています。このなかから実行可能な対策のみ行なっていくというのが、提言の現実的な活用法でしょう。


で、そのとき、どういうことを優先的にやれば対策効果が高まるのかが素人にはわからないので、もっとも重要な対策5項目くらいにしぼった簡易提言書があるといいなと思いました。電子機器などでは、分厚い取扱説明書に加えて、重要なことだけにしぼった簡易説明書が付いていることがありますが、ああいうイメージ。


今回の提言書はVersion.1となっているので、Version.2あるいはVersion.1_aなどというかたちで、そういう簡易バージョンができればよいのではないでしょうか。