北アルプスの不帰で、行方不明になっていた登山者が8日ぶりに救助されたというニュースがありました。
この事故について、以前に現場周辺のパトロールをやっていた方が事故原因についての考察を書いていました。
これを読んだ4日後にちょうど現場を通る予定があったので実地に確かめてみました。結果としては、道迷いの現場はブログに書かれていた所でほぼ間違いないだろうという感想でした。
まず、天狗ノ頭から下ってきて、この場所に突き当たったら要注意。天狗ノ大下りが始まる部分で、鎖場になっています。
登山道は青線のように続いていますが、赤線ルートにもけっこう明瞭な踏み跡があります。どちらもすぐに合流するので大差はありません。
こんな感じ。赤線を下ってしまうとガレ沢に入り込んでしまうというわけです。正しい青線の道は一段上がっていて、足元ばかり見て歩いていると見落とすことは十分ありそうだなと感じました。
このへんは動画のほうがわかりやすいと思うので、以下を参照ください。
豊後ピートさんのブログでは、「沢方向に鎖が延びている」ということが書かれていましたが、現在は短く処理されていたので誤誘導のおそれはないと思います。ただし同ブログで言及されていた「グリーンロープ」はなくなっていました。
間違った沢方向にも少し下りてみましたが、ガレガレで荒れていて、とても北アルプスの登山道とは思えない状態です。間違って踏み込んだとしてもほとんどのケースではすぐ気づいて戻ることができるでしょう。道迷い箇所としての難易度は高くありません。
ただし、ガスで視界がほとんどきかないとか、強風大雨で余裕がないとか、疲れきっていてやはり余裕がないとか、あるいは足元しか見ていないとか、そういう悪条件が重なると今回の道迷いのような泥沼に入り込んでしまうこともあるのかもしれません。
登山道が突然不明瞭になったら立ち止まれ
結局、これに尽きるのでしょう。登山道が突然不明瞭になったり荒れたりしたら、絶対に何かあります。立ち止まって周囲を見回して、場合によっては地図やコンパスを確認したら、たいていは間違いに気づくことができるはず。そして立ち止まるのは早いほどよい。なにか変だなと感じたままズルズル歩き続けてしまうと傷を深くするというわけです。
以上であります。さすが元パトロールの方。考察はドンピシャで当たっていたという感じでした。
*この事故の実際の救助のようすが富山県警の公式チャンネルで公開されています
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