2016年4月22日金曜日

クライミングは運動靴でやれ


日本フリークライミング協会の会報誌『freefan』が届きました。


この冊子に「ローカル強強クライマー列伝」という連載があります。全国的には無名だけど、その地方では知る人ぞ知るというような人物を紹介するコーナーです。今回取り上げられていたのが、大学探検部時代の先輩であり、私にクライミングに教えてくれた人物でもある高橋洋祐さんでした。


高橋さんは現在は愛知県でプレイマウンテンというクライミングジムを経営しています。学生時代からクラブの中では突出してクライミングがうまく、当時から有名なクライマーといっしょに登っていたりして、その筋では知られていました。


私は学生時代に、アフリカのサントメ・プリンシペという国にある「ピコ・カン・グランデ」という岩塔を、高橋さんと後輩1人の3人チームで初登したことがあります。これも高橋さんがいっしょじゃなかったら絶対登れなかっただろうな。難しいピッチは全部高橋さんにリードしてもらいました。


Pico Cao Grande 663m



中央が高橋さん、右が私、左は縣直年という後輩。それにしても汚い写真ですな


ところで、freefanの記事を読んでいて私はショックを受けましたよ。それはこのくだり。


若林 岩と雪読んであこがれてましたよ。この登攀(ピコ・カン・グランデ)は。ところで昔は運動靴で登っていたと言ってたね? 
高橋 今でも道具にはあまり頓着しないんだけど、昔はもっとそうだった。「運動靴で登れなきゃ沢や洞窟で通用しない。ベストの靴は月星シューズ!」とか意気がってたんだけど、骨折で懲りてすぐにクライミングシューズ買った。


「運動靴で登れ」とは確かによく言われていました。クライミングシューズは岩ではいいけど歩けないから大きな山では実戦的ではないというのです。それに、登りにくい靴で練習していれば、靴に頼らない足さばきが身につくと。


それはそのとおりだ、理にかなってると、先輩の教えにしたがって私はふにゃふにゃのジョギングシューズで一生懸命登っていたわけです。当然ながら全然登れなくて、まったく面白くないわけですよ。しかしそれは私の精進が足りないからなんだと自己嫌悪に陥っていたものでした。


その後、クライミングシューズで登るようになって気がついたんですが、「登りにくい靴で練習したほうがうまくなる」というのはウソじゃないかと。登りやすい靴で登ったほうが明らかに技術が身につくんですよね。高橋さんの教えは間違っていたんじゃないか……?


ところがおそろしいことに、現在でも心のどこかで「クライミングシューズはズルだ」と思っている私がいます。もうとっくに高橋さんの教えが間違っていたことはわかっているんですが、頭ではわかっていても心が納得しないというか。高橋さんは私にクライミングのイロハを教えてくれた人。いわば歩き方を教えてくれた親です。親の教えというのは、どんなに間違っていても、当人にとっては真実として心に刻まれてしまうのですね。


その親があっさりと運動靴を否定している。それを信じて心に刻んでしまったおれの立場は……。





*ところで『freefan』の詳細はこちら。日本フリークライミング協会の会員(年会費3000円)になると送られてくるほか、クライミングジムなどで買うこともできます(500円+税)。

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