2015年4月27日月曜日

知る人ぞ知るナイキの名作


使えなくなった道具はあっさり捨ててしまうほうなのだけど、たまに思い入れが深くて捨てられないものもある。
この靴がまさにそう。
買ったのは1999年くらいなので15年以上前。ゴムがはがれたり革が破れかかったりして、もう7、8年はまともに履いていないのだけど捨てられなかったのです。
しかしこうして写真に撮って記録として残しておけば、また会いたいときにすぐ会えるではないかと思いついて、ようやく捨てる決心がつきました。


ナイキACG エア・ラバドーム2002
ラバドームという靴は年式によってずいぶん変わっているのだけど、僕が履いていたのはこの2002というタイプ。
5.12が登れるといわれたほどクライミング性能の高い靴で、ハンス・フローリンというアメリカの有名なクライマーがヨセミテのビッグウォールで履いている写真を海外の雑誌で見たこともあります。
そんなトップクライマーも実戦で使うほど完成度の高い靴だったわけです。
販売期間が短かったのか、それとも売れなかったのか、履いている人はあまり見なかったけど、これの後継モデルでかなりヒットしたエア・シンダーコーンという靴の原型はここにあるといっていい。



90年代から2000年代にかけて、ナイキはACGというラインでかなり使えるアウトドアシューズを出していました。
大企業がアウトドア製品を作ると、往々にしてカッコだけのものになりがちで、通から見るとどうにも使えないものである場合が多いのですが、このころのナイキACGは違いました。
アウトドアメーカーとはまったく異なるアプローチでありながら完成度が高く、かつ革新的で、ビッグブランドが本気でアウトドアに取り組めばこういうことになるのかと、ワクワクしたものでした。



なにがそんなによかったのかというと、なによりそのクライミングシューズばりのフィット感。
足全体にすきまなくぴったりとフィットし、とにかくブレのない履き心地が最高でした。
本当に5.12を登れるのかどうかは、残念ながらわたくしの身体能力的に確かめることができなかったのですが、うまい人が履けば本当に登れるかもと思わせるだけのものがありました。
開発陣には絶対に好き者(クライミングの)がいたに違いないと確信しています。



高性能の秘訣はこのソール。ほとんどクライミングシューズと同じといってもいいような特徴的な作りです。
ソール外縁部がフラットパターンになっており、つま先が絞り込まれた形状のため、小さい突起にも非常に立ちやすかったのです。
つま先部分がフラットパターンになっているこういうソールは、「クライミングゾーン」などと呼ばれて、最近のトレッキングブーツにもよく採用されていますが、この構造を初めて採用したのはこのラバドームじゃなかったかと思います。



とにかく気に入っていて、一時はこればっかり履いていました。
壊れかけてきたころ、もう一足買っておけばよかったなと後悔したくらい。
今回あらためてネット検索してみたら、ヤフオクとか、ショップのデッドストックなんかで、たまーに出物があるみたいですね。でもサイズがデカかったりするものがほとんど。サイズが合うものがあったらもう一回買ってみたい。



これ履いて国内から海外の山まであちこち行ったなあ。
あなたはまさに名作といえる靴でした。
これまで本当にありがとう。

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