2017年5月29日月曜日

”伝説のクライマー” 池田功トークショー


とにかく素晴らしいトークショーでした。これだけ面白いトークショーは、近年見た覚えがありません。2時間くらいやっていて、ほぼ立って見ていましたが、2時間があっという間でした。


終盤で、録画か録音しておくべきだった! と大後悔。この素晴らしいトークショーを、この日、ここに集まった人しか体験できないのは、クライミング界にとって損失です。と思うくらい素晴らしかったです。


感動を書きなぐってしまいましたが、5月27日に小川山で行なわれた池田功トークショーのことです。枻出版社主催のイベント「クライムオン」のプログラムのひとつでした。私なんか、これ見たさに行ったようなものですが、想像以上に内容満載で、大満足。ここで話された内容を多くの人が知ることができないのは、重ね重ね残念。




忘れないうちに、覚えていることだけ列挙します。


「たとえば砂漠に岩塔が立っていたとしたら、その頂上に行くには下から登っていくしかないですよね。グラウンドアップというのは、そういうことなんですよ」

ーーグラウンドアップというスタイルがなぜ大切なのか。そのことをこれほど鋭くわかりやすく表現した言葉は今まで聞いたことがありませんでした。


「フリークライミングというのは、世間にはもちろん、登山界にさえ認められていなかった。そんな時代に、ぼくらの存在を認めてもらうには、いちばん有名な壁でインパクトのあることをやる必要があったんです」

ーー谷川岳衝立岩フリークライミングについて。池田さんは、衝立岩に思い入れがあったというより、「フリークライミングにはこれだけのことができるんだ!」と世間にアピールするために衝立岩を選んだそうです。


「御岳にボルダリングエリアを開拓したのは、東京から近いところでクライミングできるフィールドが欲しかったからなんです。近いところにあったらみんな便利じゃないですか」

ーー御岳開拓の動機は、クライマーたちが通いやすい岩場を提供するためだったというのです。自身のパフォーマンスの表現ではなく、ほとんど公共事業に近い感覚で、開拓をしたそうです。


「御岳の『デッドエンド』命名の由来? あそこは最後が核心なんですよ。『出口が悪い』。だからデッドエンドなんです」

ーーこれは知らなかった! すでに既知のことかもしれませんが、私は初めて知りました。


「登れなくなった課題」

ーーこれは、会場にいた中根穂高さんの飛び入り発言ですが、御岳の「クライマー返し」のホールドが欠けて登れなくなったとき(ナックルジャムの部分)、池田さんは雑誌に「ホールドが欠けて登れなくなるほど、クライミングは底の浅いものではない」という趣旨のことを書いていたそうです。実際、後年、その状態で登られたわけで、ホールドを貼り付けたり安易なことをしなかった池田さんがどれだけ先見の明があったかということを、中根さんは熱弁していました(中根さんの話がまた異様に詳しく、「中根くんはおれよりおれのことを知ってるなあ」と池田さん笑ってました)。




ああもう、ほかにも、「池田ステップ」の正しいやり方とか、なぜ池田さんはクライミングをやめてしまったのかとか、伝えたいことが山ほど。録画しなかったのが本当に大後悔。最後には、なんと「デッドエンド」の初登動画まで上映されました。8mmフィルムで撮影されたもので、池田さんが死蔵していたそうです。80年代前半当時のクライミングで動画が残っているものなんて、これくらいしかないんじゃないでしょうか!? 池田さんの許可が出れば、YouTubeにアップして、多くの人に見てもらいたい!





池田さん、ほんと物持ちのいい人で、当時使っていたギアのほとんどをまだ持っていたそうで、どっさり持ってきてくれました。衝立岩フリー化で使ったロープとか、スーパーイムジンのボルトを打ったジャンピングとか、本気で大町山岳博物館に所蔵すべきと思われるお宝がゴロゴロ。一度ちゃんとお借りしてきちんと撮影しておきたいです。


ラスト20分では、平山ユージ大先生と中嶋徹くんも加わって超豪華な座談に。「平山くん、おれになついてくれなかったじゃない」と笑いながらも(平山さんもあわてて言い訳してました笑)、「平山くんはぼくの100倍くらいクライミングの世界を広げてくれた」とうれしそうでした。


一応、トークショーの記録動画も一部あります(枻出版社の人間がスマホで録画してたけど、途中でバッテリー切れ! どこまで録画されてるかは未確認)。司会を務めたライターの寺倉力さんが音は全収録していたそうなので、許されればどこかの機会で全文掲載したい。それくらい内容のあるトークショーでした。


ちなみに池田さんの許可は取得済み。「えっ!? 酒入ってたし、文字になったらまずいなあ」と笑ってたので、まずいところは黒塗りで掲載するということになってます(笑)。




【補足】

肝心の池田さんの写真撮ってなかったので、井上大助さんのフェイスブックからお借りします。池田さん、面構えも体格もどう見ても格闘家で、歌舞伎町でヤー様が道を開けそうな風貌ですが、話すと拍子抜けするくらい気さくでした。





ギアについては、中根穂高さんがマニアックに解説してくれています。ギアのことならなんでも知っている中根さんでさえ見たことがなかったギアもあり(ソ連のクライミングシューズとか)、中根さん興奮していました。




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